交流分析・・・人生脚本

人間はまだ幼いうちに未来の自分を想像すると考えられています。
エリック・バーンが提唱した交流分析において重要な理論が、この人生脚本と呼ばれるものです。
幼い頃というのは、個人差はありますが大体7歳までです。
それまでの間に、自分の育てられ方や周囲からの接し方をもとに、今後の人生の脚本を無意識に書いてしまうというのです。
人間は無意識のうちに作られたその人生脚本の筋書き通りの人生を送ります。
誰でも、自分の人生はその場その場に応じて判断して生きていると思うでしょうが、それにおいても、気付かないうちに特定の方向へ選択しているのです。
では、人生脚本はいったいどのように作られるのでしょうか。
先ほど、育てられ方は周囲の接し方と述べましたが、親からの愛情の与えられ方が大きな要因となることは間違いありません。
例えば、両親から優しい言葉をかけられ愛情いっぱいに育てられたのであれば、「自分は愛される人間で幸せになれる。自分の周りはいい人ばかり」というかんじの脚本が書かれます。
それに対し、虐待など酷い育てられ方をした場合、「自分は駄目な人間だ。何をしても上手くいかないし、幸せになれるはずがない」という脚本が書かれるのです。
不幸な脚本を作ってしまった人は「対抗脚本」というものを作ります。
対抗脚本は不幸にならないために書かれる自己救済要素ですが、これを実現させるのは極めて難しいとされています。
人生脚本が無意識で働いているのに対し、対抗脚本は意識的に考えないと働かせることはできません。
表向きは対抗脚本のとおりに努力していても、深層心理では人生脚本が働き続けているので、重要な選択を迫られたときには必ず不幸の道を歩んでしまうのです。